僕は強くなったと、そう思っていた。
前回の闘技大会では初めて予選を突破できたことに、確かな成長を覚えていた。
だが、僕は弱かった。
同じく、予選を勝ち抜いてきた相手はとても強敵で、その連携の前に私は成す術もなく倒れ付していた。
予選を突破したのも、友の力があってこそのもの…彼らが倒れてしまった後、残された僕には何もできなかった。
共に戦っていたつもりではあったが、僕には気付けば彼らの背中しか見えない。
有り余る才能を持ちつつも歩みを止めない少女に、努力を重ね続けて確実に大きくなっていく少女。
そして、大きな器で私達を引っ張ってくれる青年。
今の僕では、彼らと並んで戦うことはできないだろう。
自分自信の力の使い方を、まだ図りかねている僕に、彼らの隣に立つことなどできやしない。
…強くなったと思っていただけに、悔しいね。
だけど、僕はもう昔の僕じゃない。
イノセントであるから、全てが上手くいくとなんて思わない。
ただ、想いが…愛があればどんなものも越えられる等と、甘いことは思わない。
僕は所詮は凡才、だったら努力を重ねるのみだ。
友人の、あの努力家の少女に負けないくらい。
そして、友人たちに少しでも追いつくことができたなら、その時には彼らの隣に立って護るんだ…今度こそ!
いつの日か、私の生まれた地へ帰った時、あの人の前で胸を張れるように…誇りを持って報告できるように。
僕は強くなる。
もっともっと強くなる。
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